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2017年5月17日 (水)

縁のお話し

四月に投稿した山の色花の記事に載せなかった写真を当日の紆余曲折を織り交ぜてご紹介いたします。ちょっとながいですが、見つかるときはそんなものなのか、と流して呼んでくださると幸いです。


四月初旬。
8時半ごろアオイカンさんと待ち合わせして出発。
早速、目星を付けてくださっていた山へ。昔、覆輪などを見つけているそうで、見た目にも良い環境で何かありそうな雰囲気満々だったのですが…、今回は何も見つかりませんでした。

「どうする? 去年散り斑覆輪みつけたとこ行ってみる? それともぶらっと走ってみようか?」
「うーーーん。そうですねー、せっかくなので行ったことない新しい場所探したいですね」

ご自身も行きたい場所があるでしょうにワガママに付き合ってくださるアオイカンさんには頭が上がりません。

「向こうは山が深いねー。これ以上先は似たような山に囲まれてるし、この辺を歩いてみようか」
「そうですね。ありがとうございます」

私が優柔不断すぎて日が暮れかねないので、アオイカンさんがほどよくバランスを取ってくれます。初めての山です。何の情報も無く全くの未知数です。
この頃、花粉症真っ盛りだった私はアレルギー薬を手放せず、薬のせいか異様に喉が渇いてこの山に入る前に水を飲み干してしまいます。見兼ねたアオイカンさんが予備に持って来たお茶を1本譲ってくださったのですが、それも異様な喉の渇きでハイペースで飲み進めてしまいます。朝ご飯は食べて来たのに時折、立ち眩みがするようになり、三十代とは思えないトロさで散策をします。思いのほか自生数が多く、飽きることなく散策をし、あっという間に昼時に。アオイカンさんの奥様が用意してくださったお弁当を美味しくいただきました。本当にありがとうございました。とっても美味しかったです!

「いやぁ、何もないっすね…」
「無いのが当たり前だよ」

すっかり朝の元気が消えてしまった私とは違い、多くの当たり前を乗り越えてきた先輩の言葉は清々としていて、諦めの悪い私の浅ましさを照らし出すようでした。

「そうですね。ゴクゴク……はっ!」

このとき、アオイカンさんにもらったお茶すら飲み干してしまう失態を犯します。

「場所変えてみる? 私はその先まで歩いたけど、それとも来た方と反対行ってみる?」
「そうですね。今から他の山探すのは厳しいですよね。戻りましょうか」

13時過ぎ、我々は来た道と反対のまだ歩いていない方へと進みました。1時間ほど散策しますがめぼしい発見はなし。
私は立ち眩みの頻度が増して、おまけに水も切らしてしまって精神的にも体力的にも追い詰められ、山道脇にへたり込んでしまう始末です。

「ちょっと座って休んでなよ」
「はい。。すみません」

14時19分。この日、一番期待出来そうな斜面の前で決断を迫られます。

「私はまだ歩けるけど、喉も渇いてるだろうし、先に降りるかい?」
「いえ、少し休んだので大丈夫です。すみません」
「そしたらこの斜面、ここから登って先に進んでみるかい? それとも帰る方向に下りながら歩いてみるかい?」

大丈夫とは言ったものの、もうふらふらで帰りたい気持ちも強かったのですが、今日も色んなところへ連れて行ってくださって、いつもお世話になっているアオイカンさんに何か少し、少し変わったものでいいからお礼に見つけたかったのです。

「じゃあ、すみません、帰る方向に歩いてみましょう。僕が上のほうを見ますのでアオイカンさんは下のほうをお願いします」
「あいよ!」

斜面の縁は傾向的にたくさん生えてるものですから、体力のない今の自分には難しいなと思ったのです。

と、意気込んだものの私はけっきょく少し歩いては立ち眩みの繰り返しで、まったく猫の方が役に立ったのではないでしょうか。元々、散策スピードの速いアオイカンさんは先へ先へと進んで行きます。もはや斜面で踏ん張る力もない私は助けを求めるようにふにゃふにゃと木の枝にしがみついて平らな尾根に出ました。
実は立ち眩みに苦しんだのは今日だけでなく、今期は何度か同じ目にあっていました。
いったい私の体はどうなってしまったのだろう?太り過ぎか?本気で痩せないといけないなぁ…と、もう散策する気力はすっかり薄らいで、虚ろな目で尾根から斜面を見下ろしました。春蘭の花の後ろ姿が見えました。日焼け花かな。悔しいな…と、ぼんやりと目に入ったその花の元に膝をつきました。

14時43分。
それは後ろ姿でしたが、花焼けでもモヤシ咲きでもなく、明確な色を持ってそこにありました。

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「…………」

時間が止まっていました。

「アオイカンさーん!」
「はーい」

このときアオイカンさんは、私がまた変なモヤシ花を見つけて呼んでいると思ったそうです(笑)

「出たあー!」

ヘタレきっていたのに、どこからそんな大声出せたのか不思議ですが、咄嗟にアオイカンさんを呼びました。

「何がー!?」
「あかばなー!(朱金と思われる)」
「えーー」


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午後4時過ぎ。ゆっくり山を降りました。
自販機にすがりつくように水とスポーツドリンクを買いました。水のペットボトルには、山の朱金を一花を摘んで浮かべました。

夕暮れ前、少し時間があったのでコンビニに寄ってもらい、菓子パンでカロリー補給し、ちょこっと寄り道して帰りました。
その様子はこちらの記事をご覧ください。

その後、今期最後の花散策でも立ち眩みに悩まされ、よくよく調べてみると花粉症の薬の副作用だと分かりました。特に“眠くならないタイプ”のものは山歩きする方は要注意です。花粉症はつらいですが、倒れてしまっては元も子もありません。お花見は鼻水垂らしてなんぼですね。

……とはいえ、もしあの日、立ち眩みでふらふらになっていなかったら色花を発見出来たでしょうか。あの決断を迫られたとき、さらに先に進んで日が暮れていたら…。
多くの出来事は偶然で成り立っています。その偶然を面白いものにするのが人と人との縁(えん)だと私は思うのです。
すずき園芸から始まり、ルさんと出逢い、そんちょと出逢い、蘭迷さんと出逢い、m's ranさんと出逢い、稲木先生と出逢い、sharaさんと出逢い、こうちょうせんせいと出逢い、そんちょの盟友アオイカンさんと出逢うことがなければ、今の私はありません。自分からも動き出さなければとゴリョウさん、大阪の皆さん、横須賀の皆さん、いつもお世話になっているMさんとの縁。そういう見えない全ての縁が思わぬ偶然を呼び込み、いつも私を蘭の元へ導いてくれるのだと思います。それは一人で歩いていてもです。





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コメント

あの花は、ユンナンさんが自分で引きよせたのよ。
早く花粉症克服して!!

花粉症、今はすっかり治りましたよ〜!
自分の場合、山行くなら薬を飲まないほうがいいみたいです。
抗コリン作用が原因でした(´・_・`)

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